『おやつのカンデラ』閉店に寄せて

ごあいさつ

インスタグラムでは前もってお知らせしていましたが、僕たちのお店「おやつのカンデラ」は2025年4月7日をもって閉店いたしました。2022年9月8日のオープンより約2年半。たくさんの方にお越しいただき、本当にありがとうございました。

インスタグラムで閉店を発表してからは予想以上の反響があり、心も身体も追いつかないような状況でした。ですが4月いっぱいで物件の引き渡しも終わり、少し余裕が出てきたところで振り返りのブログを書いておこうと思います。

わがままで実験的なお店づくり

「おやつのカンデラ」のメニューは、ドーナツとプリンがそれぞれ1種類。あとは飲み物。以上、それだけ。初めてご来店いただく方の頭の上に「これだけ??」とハテナが浮かんでいる場面もよくありました。そんなワガママなお店が生まれた背景に、少し触れておきたいと思います。

メニューの少ないお店が好き。そんな個人的な趣向が今回のお店づくりには反映されていました。日替わり定食だけの食堂、あんこが売りのたい焼き屋。僕たちが住んでいる香川県で言うならば、製麺所に併設されたうどん屋さんが、その究極ではないでしょうか。製麺業の副業でやっているから、そもそもメニューは無し。ガラガラっと引き戸を開けると「いくつ?」と聞かれます。「ふたつ」と答えると、2玉のうどんが入った丼が、目の前にコトンと置かれます。あとは客席に置いてある、かけ出汁なり醤油なりをかけて、ゾゾっと麺をすする。「〇〇専門店」の煌めきとはまた違う、これさえあればいい、という潔さ。それをカフェの業態に落とし込んだら、どうなるだろう?というところから「おやつのカンデラ」は生まれました。

オープン当初はたくさんの方にご来店いただき、売り切れ御免の早仕舞いをする日も。美味しいものを美味しいうちに。これは良いビジネスモデルを作れたな、と喜んでいたものでした。しかし、いつだって商売は水物。1年2年と続けていくうちに、せっかく作ったドーナツを余らせてしまう日も増えてきました。日持ちのしない商品を扱うことの難しさを痛感したことが、閉店の理由のひとつでもあります。

いつものドーナツ、いつものプリン

とはいえ手塩にかけたドーナツや、前身のお店「西浦谷フラット」時代から妻が作ってくれているプリンには、並々ならぬ自信と愛着があります。商売としては中々うまくいかなかったけれど、たくさんの人に愛していただいた事は、誇りに思います。そして、ゆっくりとした時間が流れる、この空間も。

友人であり写真家の、近藤拓海くんが撮影してくれた写真で振り返りたいと思います。

そして生活はつづく

僕たちにとって、お店を営む事は暮らすこと。いつまでも思い出に浸っているわけにもいきません。実は次のお店に向けて、物件をかりて工事を進めています。

お得意のセルフビルド。おおかたの工事は自分でやるつもりなので、少し時間はかかってしまうかもしれませんが、どうぞ気長に見守ってください。進捗はインスタグラムにて。
@candela_magazine

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この記事を書いた人

おやつのカンデラ店主。
香川県うまれ、香川県そだち。愛すべきローカルの良さを噛みしめながら、ごきげんに暮らしています。お酒と音楽、自転車が好き。

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